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「SUPER8 スーパーエイト」と「モールス」に共通するもの [映画]

「SUPER8 スーパーエイト」と「モールス」に共通するもの


 モンスター映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」は
“被害者がホームビデオで自分たちの体験を撮影した”という設定で
徹底的に主観映像で描かれた快作でした。

 同作品のプロデューサーはJ.J.エイブラムス、そして監督は
マット・リーヴス。

 この二人がそれぞれ監督した新作映画が相次いで公開されました。

 それが「SUPER8 スーパーエイト」と「モールス」です。

 別に示し合わせた訳ではないのでしょうが、なぜかこの2本には
多くの共通点がありました。

 どんな共通点があるかと、作品の印象を書いてみます。


 例によって一部ネタばれになる場合もありますのでご了承ください。


 共通点を挙げてみましょう。

 ・やはりモンスター映画
 ・主人公は思春期に差しかかった少年
 ・両親のうち片方と死別あるいは別居して寂しい家庭環境
 ・アメリカの小さな町
 ・携帯電話が普及していない頃の話
 ・少年は少女と恋に落ちる
 ・(モンスターが現れ)誰も目撃したことのない光景に出くわす
 ・そのことは大人に教えられない秘密
 ・特殊な状況の中で少女を守ろうとする、そして絆が深まる
 ・少年の純粋な心に触れたモンスターは凶暴性を抑え、町を出る
 ・少年と少女は相思相愛のままハッピーエンドになる

 大体こんな感じです。

 モンスターがどんな存在なのかも、映画の作風も全く違うのに
こんなに共通点がある映画をほぼ同じ時期に撮っていたとは
不思議です。

 
 「SUPER8 スーパーエイト」の方は製作がスティーブン・
スピルバーグ。

 そしてJ.J.エイブラムス監督がスピルバーグ作品にどれだけ
心酔し影響されたかを物語るオマージュとなっています。

 宣伝ポスターやチラシの写真は「未知との遭遇」を思い起こさせるし
(時代設定も「未知との遭遇」公開と同じ70年代後半に設定)、
本編ではそれ以外にも「E.T.」「ジュラシック・パーク」「宇宙戦争」などの
映画を連想させるシーンが一杯出て来ます。

 ティーンエージャーたちの冒険という意味では、原案+製作のみ
担当した「グーニーズ」が元ネタだろうと友人が言っていました。

 残念ながら「グーニーズ」は観ていないのですが観たことのある
人の方がその世界観を共有できそうです。

 いずれにせよオマージュであってそれ以上でも以下でもない
というのが正直な感想です。

 何か特別な目新しさを期待して観るとちょっと物足りないです。

 それでも映画に対する愛を感じる作品ではあります。

 8ミリフィルムで映画を撮影する少年たちの姿にエイブラムス監督
自身の若かりし頃をダブらせて描いているだろうというのは容易に
想像できます。

 才能が認められて大作を監督するようになった今、初心に帰って
自分と映画との関わりの原点を見つめているような、そんな雰囲気が
伝わって来ます。

 観ているトシもかつては8ミリ映画を自主制作した経験の持ち主なので
懐かしくもありちょっとわくわくできる映画でした。

 最後に少年たちの撮影した8ミリ映画の“完成品”が映し出される
ところが良かったです。


 「モールス」にも元ネタがあり、スウェーデン映画「ぼくのエリ
200歳の少女」のリメイク作品です。

 元の映画を観ていないので比較はできませんがこの作品には
マット・リーヴス監督が紡ぎ出す独特の雰囲気があります。

 孤独な少年と謎めいた少女の心の交流が丁寧に描かれていて、
そこに連続猟奇殺人という只ならぬ事件が絡んで来ます。

 スリラーですがただ単に人を驚かせたり怖がらせたりする類の
ものとは一線を画し、あくまでも主役の二人の心に焦点を当てていて
それ故に大変情緒深い印象を与えます。

 この映画が好きかどうかと言えば好きではあるのですが、宣伝
チラシにあるような絶賛コメントで人に薦めたくなるかというと
それは微妙です。

 ちょっとご都合主義なところがある脚本。できるだけ原作に
忠実に描いたらしいのでオリジナル版もそうかもしれません。

 どれだけ工夫してもやはりどこかに不自然さ、強引さが
感じられてしまいます。

 例えば少年が、(相手の少女の正体を知らない段階で)「血の契り」を
結ぼうとして自分の指を切る件が唐突です。

 滴る血を見た少女が反応してヴァンパイアの本性を現してしまう
という流れになるのですが、わざとらしい展開だという印象は
ぬぐえません。

 あと、ヴァンパイアが人を襲ったり壁をよじ登ったりする場面が
いかにも特殊効果で描いた感じがして違和感があります。

 その場面だけ手抜きに感じられたのはトシだけでしょうか。

 せっかくいい雰囲気でドラマを描いているのだから、特殊効果にも
細心の注意を払ってできるだけ自然に見えるようにして欲しかったです。

 部分的に納得いかない点はあるものの、主役二人の演技が良かったし
全体として心に残る作品でした。 


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