SSブログ

「お急ぎのところご迷惑いたします」 [違和感のある日本語]

「お急ぎのところご迷惑いたします」


 日常生活の中で、不自然な、あるいは違和感のある表現に出会う
ことが多いです。

 よく耳にするのは駅のアナウンスで「この電車にはまだ御乗車
できません」といった敬語の使い方の誤りです。

 それから、飲食店で料理や飲み物が運ばれて来て店員から
「こちら、〇×△になります」と言われることが最近多いです。

 あまりにもそういう誤用が蔓延しているため、言われる方も
だんだん気にしなくなってきているのかもしれません。

 でもトシはいちいち気になって仕方がありません。

 駅員や店員に「その日本語の使い方、おかしいですよ」と言えたら
いいのですが、小心者のトシはそこまでできません。

 せめてブログの中だけでもおかしいと言い続けたいです。


 今日耳にしたのは「お急ぎのところご迷惑いたします」という
表現です。「御乗車できません」のような単純な敬語の誤用に
見せかけながらもひねりのきいた、「技あり」な誤用です。

 朝の地下鉄に乗っていた時のことです。後続の電車が遅れているため
しばらくこの駅に停車して時間調整をするとのことでした。

 この時の車掌のアナウンスで「お急ぎのところご迷惑いたし
ます」という表現が繰り返されました。

 よくもまあこんなおかしな言い回しを考えたものだと感心して
しまいました。

 常識のある読者の皆さんなら「お急ぎのところご迷惑をお掛け
いたします」が正しい表現だということをご存じでしょう。

 電車が遅れて迷惑を被るのは乗客の方です。その迷惑の原因が
自分たちにあることを申し訳なく思う気持ちを表現するために
「ご迷惑をお掛けいたします」と言うのが普通です。

 「ご迷惑いたします」を敬語ではなく普通の言い回しにすると
「迷惑します」つまりアナウンスしている車掌本人が迷惑を
被っているという意味になってしまいます。

 「客が急いでいるおかげでこっちはいい迷惑だ」とでも
思っているのでしょうか。

 車掌の中にそういうひねくれた人物がいないとも限りませんが、
おそらく今回は言葉の使い方を知らなかっただけでしょう。

 何のアナウンスもなくただ待たされたのでは乗客の不満が増す
だろうからしつこいくらい繰り返しアナウンスしなさい、みたいな
ことがマニュアルで指導されているのではないでしょうか。

 この車掌が同じことを繰り返しアナウンスしたこと自体はいいの
ですが「ご迷惑いたします」では逆効果です。

 聞いていたトシはイライラが増してきました。電車が遅れることよりも
むしろ誤った日本語を繰り返し聞かされることの方がいい迷惑でした。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。