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「ワールド・トレード・センター」 [映画]

「ワールド・トレード・センター」


 アメリカ人が直面した歴史的事件を描くのが得意なオリバー・ストーン監督
の最新作。今回は9.11のテロによる高層ビル崩壊が題材です。

 例によって映画の内容に触れますのでこれから見る予定の人は読まない
ことをお勧めします。


 

 あの忌まわしい出来事を題材にすることの是非が問われたようですが、この
作品は決して見世物的な映画にはなっていないと思います。

 テロはもちろん許せない行為ですが、テロリストへの怒りをあからさまに
描いたものでもありません。

 そして政治や宗教とは別の次元で、あの事件が我々にどんな影響を与えたか、
何を教訓にしたらいいかを気付かせてくれます。

 どんな困難な状況に遭遇しても前向きな姿勢を失わず、一人でも多くの命を
救おうとする人々の姿が感動を呼びます。

 ときには自分自身が二次災害に遭うかもしれない危険な状況の中でも「助け
なければ」「どうしても助けたい」という思いが優先して人々は勇気ある
行動を取るのです。

 その一方で教義を自分たちの都合のいいように捻じ曲げ、平気で罪の無い
人々を殺戮するだけでなく自分の命さえも粗末にするテロリストがいます。

 どちらが人間として価値があるかは明白です。この映画を見ると、直接的な
表現は無いものの人間的な価値でアメリカ国民はテロリストに勝っているぞと
言っているようでもあります。

 人間として一番尊いものが何かを自分たちは知っていてそれを守っているん
だ、という誇りが感じられます。


 この映画では瓦礫に埋もれて身動きできない状況に直面した人間がどんな
心理状態で、どんな想いが胸をよぎるかが詳細に描かれています。

 また、安否が不明なことに苛立ち、怒りをどこにぶつけたらいいか分からない
妻を初め家族たちの心の動きもよく伝わってきます。

 たった二人の生存者はお互いを励ますことでなんとか生き長らえます。
二人のうちどちらかが死んだらもう一方も希望を失って死ぬ。それが懸命に
意識を保ち続ける原動力になったのは間違いありません。

 そしてもうひとつ大切なのが妻や子供たち、あるいは家族の存在です。
愛する妻や子供たちを残して死ねない。絶対生きて再会したい。そんな
強い思いが、死ぬか生きるかの極限状況の中でも諦めない精神力を支える
ということが実感できます。

 安否を気遣う家族の姿は痛々しかったけれど、最後は生きて再会できて
良かったです。


 ビル崩壊で生き埋めになりながらも奇跡的に生還した二人の警察官の実話を
元にした映画だけに演じたニコラス・ケイジとマイケル・ベーニャは劇中
かなりの部分で瓦礫に埋もれながら演技しなければなりませんでした。

 肉体的にも芝居の面でもずいぶん苦労したのではないでしょうか。


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