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DVD鑑賞「フライトプラン」「アンブレイカブル」 [映画]

DVD鑑賞「フライトプラン」「アンブレイカブル」


 2本とも狐につままれたような話です。

 この先、本編の内容に触れますのでこれから見る予定のある方は
読まないことをお勧めします。


 

 「フライトプラン」は高度1万メートルを飛ぶ最新鋭の旅客機の
機内から娘が失踪するというミステリー。

 ジョディ・フォスター主演、密室、子供、犯人との駆け引き等
前作「パニックルーム」と被る部分があるにせよ、全く新しい
物語が展開します。

 いかにも映画のために作られた設定という感じで、ご都合主義な
ところは随所にあります。

 でも構成が緻密で伏線の張り方も見事です。謎が解けるまでの
引っ張り方、犯人が分かった後の攻防戦も見ものです。

 同乗した娘を誰も目撃していないなんてありえないのに他の乗客
や乗員すべてが主人公を「妄想に駆られた迷惑な客」としか見て
くれないやるせなさ、疎外感。

 謎解きだけでなく主人公の心の動きにも着目しているところが
この映画に現実感を与えています。また、ジョディ・フォスターの
好演が光ります。

 切れのある映像が独特の雰囲気を醸し出しています。

 最後、犯人との一騎打ちに勝ち、救出した娘を抱きかかえて歩く
主人公。それまで迷惑な客としか見ていなかった乗客や乗員たちの
見方がそこで一変します。そこで観客は一気にカタルシスを味わいます。

 前作「パニックルーム」のときは映画が進むにつれて犯人の恐さが
薄れ、その結果事件解決の安堵感も小さかった気がします。それに
比べるとこの「フライトプラン」の方が緊張感を維持したまま
クライマックスを迎え、最後に安堵感を味わわせてくれます。演出の
メリハリではこちらの方が上ではないでしょうか。


 「アンブレイカブル」もいかにも作り話です。でもなかなか
種明かしをしないで最後まで引っ張る脚本と演出はM・ナイト・
シャマランの得意とするところ。

 一番肝心なところを最後の最後まで秘密にして観客のもやもやが
つのるのを意図したような演出ぶり。

 最後に落ちを付けて、「どうだい?」と得意になるのが彼の
喜びなのでしょうか。

 その落ちに納得できるかどうかは観客しだいですけれど。

 シャマラン監督が着目するのはいつも「ありそうだけど
ないかもしれない」こと。
 
 幽霊が見えてしまう「シックス・センス」に続いて製作された
「アンブレイカブル」は漫画のヒーローのような強靭な体と特殊
能力がネタです。

 しかし今回の主人公、本当にあの年まで自分の特殊性に気付かな
かったとしたら相当なボケではないでしょうか。

 そのヒーローの特殊能力についても出し渋りというか、なんで
あの程度なの?と思いました。

 ヒーロー(英雄)がいればその対極にヒール(悪役)が存在
するというところが最大の落ちとして用意されていて、それを
暗示するようにさかさまの映像や鏡に映った映像が頻繁に
使われます。

 落ちは「やられた!」とは思うけれど全体を通して見たときに
やはりご都合主義の方が強く感じられました。

 続いて製作された「サイン」もそうですが、もし本当にあったら
社会を根底から揺るがすだろうし次々と非日常的な映像が飛び出して
くるであろう話を、肝心なところは見せずにごく限られた登場人物の
話としていかに小さく描くかに努力が払われています。

 監督が描きたいのは超常現象そのものではなくて、直面した人々の
ドラマだっていうことは理屈では分かるんですが、それにしてもです。 

 落ちを見せられても「え?これだけ引っ張っといて、見せ場は
これだけなの?」と肩透かしを食わされた気分にさせられます。

 自分としては「ヴィレッジ」の方が納得いく内容でした。


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コメント 2

DSilberling

面白く読ませていただきました。
これからも訪問させてください。
by DSilberling (2006-10-15 02:29) 

toshi-jp

ありがとうございます。映画に関する記事はまだ少ないですが、
これから増やしていく予定ですのでよろしくお願いします。
by toshi-jp (2006-10-16 00:08) 

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