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「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」「ATOM アトム」吹替版 [映画]

「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」
「ATOM アトム」吹替版

 “KING OF POP”マイケル・ジャクソン、そして
“漫画界の巨匠”手塚治虫が生み出したヒーローのアトム。
どちらもトシにとっては子供のころから親しんでいて人生の
一部と言えるほど大きな存在です。

 マイケルも手塚治虫もすでにこの世を去っており、当然ながら
直接映画の製作に携わっていた訳ではありません。

 見る前はそこが気掛かりで、人気にあやかっただけの中身のない
作品になってはいまいか心配でした。

 だから、自分の目で確かめたい気持ちと、もしがっかりする
ぐらいなら見ない方が・・・という気持ちとが半々でした。

 でも結果的に、2本とも観て良かったです。

 2本の映画には故人が楽曲や作品に込めた世界観やメッセージを
尊重する姿勢が感じられました。

 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。



「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」

 

 幻に終わったロンドン公演。そのリハーサルを記録した映像と
音源を中心に構成されたドキュメンタリー。

 映画化を前提とした撮影ではなかったため、同じ曲の場面でも
別の日に撮影された映像が組み合わさって衣装がちぐはぐだったり、
画質の良くない映像が入っていたりします。

 何よりリハーサルであって本番ではないという前提で見る
必要があります。

 コンサートはビデオクリップのように完成されたものを一方通行で
鑑賞するものではありません。

 客席を埋めた観客がステージでの歌や演奏、パフォーマンスに
反応し、相互に影響し合って初めて完成するのです。

 なのでこの映画がどんなに良く出来ていても本物のコンサートに
取って代わることはできません。

 改めてマイケルが亡くなった残念さを感じます。

 しかしそれでも、幻のコンサートを疑似体験したいというのが
ファン心理というものです。

 この映画はファンの要望に最大限応えてくれています。

 リハーサルとはいえ、マイケルや共演者は本番さながらに
高水準の演奏・歌・パフォーマンスを披露しています。

 

 そして、映画は表現者としてのマイケルの素顔にも迫ります。

 マスコミが面白おかしく書きたてた「変人」像とは全く違う、
音楽や表現に対して非常に真摯なマイケルがいました。

 常に最高のものを追求するマイケル。音楽を愛していて、それ故に
自分だけでなく共演者やスタッフにも高度な注文を出します。

 しかしその注文が自己中心のわがままではなく、より良い表現を
求めているからなのだということが伝わってきます。

 注文が非常に高水準な内容なので相手に理解してもらえなかったり
簡単には実現できなかったりもします。

 それでもマイケルの求めに応えることでステージがどんどん
完成度の高いものになっていくのが分ります。

 決して上から目線ではない、対等な立場の表現者としての
話し方に好感が持てました。

 

 戦争や対立を嫌い、人々の苦しみを自分のことのように深刻に
考え、環境問題を憂いていたマイケル。

 後半はそんなマイケルのメッセージが伝わる楽曲が選曲されています。

 向こう4年間で病んだ地球を癒し、再生しようと呼びかけていました。
取り返しがつかなくなる前に何とかしよう、今やらなければいけないと。

 音楽の力で働きかけようとしていたのに、志半ばで旅立ってしまった
マイケルがどんなに無念だったかしれません。

 

 エンターテイナーとしてトップの座に立ち、人気絶頂のままこの世を
去ってしまったマイケル。

 ファンであるトシは、「ロンドン公演が大成功して、その勢いで
世界ツアーが実現すれば日本公演もひょっといて・・・」と、期待を
込めてロンドン公演に注目していました。

 しかし日本公演はおろか、ロンドン公演さえも幻に終わってしまい、
二度とマイケルを生で見ることができないと思うと、かさねがさね
残念でなりません。

 マイケルと一緒に仕事ができることを誇りにしてリハーサルに
励んでいた共演者やスタッフもどんなに残念だったでしょう。

 担当医の薬物の処方に問題があって死を招いたというのが検察の見方
ですが、一人の人間の過ちによって世界が失ったものはあまりに
大きいものでした。

 映画やビデオに記録されたものでしかマイケルに会えない現実を
思うと、心の底からは楽しめないというのが映画の正直な感想でした。


「ATOM アトム」吹替版


 観る前の印象として、手塚治虫の世界観を再現したアニメには
なっていないだろうなという先入観がありました。

 まず第一に登場人物がみんなゴム人形のように見えるという、
外見上の違和感がどうしても尾を引きそうでした。

 今まで日本のアニメを原作としてハリウッドで映画化されたものは
ほとんどががっかりするような内容だったという口コミもあったので
アトムにも期待していませんでした。

 しかし実際に観た人の感想を読むとアトムに関しては好意的なものが
多かったので、自分の目で確かめてみようという気になりました。

 結論から言うと、観て良かったです。

 原作のファンだけに向けた懐古趣味の作品としてではなく、原作を
知らない世代も含めたすべての人に向けて作られた作品であること。

 そして日本だけでなく世界中の観客を想定して作られた映画で
あること。

 その前提で見れば、登場人物の外観の違いや多数登場する新しい
(原作にはない)キャラクターなども許容範囲だと思えてきます。

 そして意外なほど手塚治虫の世界観をうまく表現してくれていました。

 ロボットが人間の世話をしてくれる未来社会。そこでのロボットと
人間の関係。

 天才科学者・テンマ博士と、息子のトピーそっくりに作られた
ロボットとの疑似親子の関係。

 実の息子を失ったテンマ博士の苦悩。姿はそっくりでも本当の
息子にはなれないアトムもまた悲しい運命を背負います。

 自分から勝負を挑んだりはしないが必要に迫られれば敵を打ちのめす
アトムの強さ、躍動感ある動き。

 たとえ相手が極悪人であろうと、助けが必要な時には手を差し伸べる
やさしさ(実際にはそうプログラムされているだけでも)。

 随所に見られる独特のユーモア。

 それらすべてが、トシがかつてテレビで見たアニメの世界と
違和感がないように忠実に表現されていました。

 物語は新しく作り直されたものであっても、根幹にある世界観は
変わっていなくて安心しました。

 映画が始まって時間が経つにつれて見た目の違和感はだんだん
気にならなくなり、我がヒーロー・アトムの苦悩や自分探しの旅を
応援したい気持ちになりました。

 少年の姿に作られているけれど実は究極の強さを持つ超高性能ロボット
だという落差もうまく出ていました。

 それでいて親しみの持てるキャラクターになっているところが
いいです。

 ロボットにはエネルギーが必要で、そのエネルギーをロボット同士で
分けあったりする場面もありました。

 エネルギーを断たれるとただの動かない人形になってしまうのが
やはりロボットらしいなと感じました。

 物語はそんなに複雑ではないので子供でも十分理解できるし、
かつてテレビアニメで観ていたお父さん世代はその世代なりの
感慨深さで観ることができるしで、親子で観るのにお勧めです。

 父と息子の物語でもあり、実際に息子を持つお父さんが観たら
テンマ博士の気持ちが痛いほど分かって泣けてしまうでしょう。

 息子といえば手塚治虫の息子であるヴィジュアリスト・手塚眞が
ATOMの監修に当たっており、さりげなく吹替え版で声の出演も
果たしていました。

 それを大々的には宣伝しなかったところが控えめで良かったです。


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9月に観た映画 [映画]

9月に観た映画

 今月は3本観ました。また横着して5段階評価(◎〇▲△×)と、
大まかな印象だけ書いておこうと思います。

「20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗」「サブウエイ123 激突」
「カムイ外伝」の3本です。


 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。



 「20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗」 評価:〇

  待望の完結編。155分という長編ですが、画面に引き込まれて
 退屈しませんでした。

  3部作それぞれに違った趣向が盛り込まれ、それでいて統一感も
 ある作品に仕上がっています。

  “ともだち”のせいで未来がとんでもないことになってしまう
 奇想天外な話ですが、20世紀末頃に実在のカルト教団が起こした
 テロや数々の事件を知っていると、単なる作り話では片づけ
 られない不気味さが感じられます。

  一応謎の部分が説明されて辻褄が合うようにはなっているものの
 頭の悪いトシはどの程度本当に理解できたのか自信がありません。


 「サブウエイ123 激突」 評価:△

  こちらは105分と、割と短めです。しかし少し長く感じました。 

  それはともかく、ニューヨーク(以下NY)をよく知らないトシに
 いろいろなことを教えてくれる映画でした。(以下ネタばれ)

  ・NY市長は公務でも地下鉄で移動する(そのくらい便利?)
  ・NYの地下鉄がジャックされるとなぜか金だったか何かの
  (トシの記憶が定かでなくてすみません)相場が急騰する
  ・NYの地下鉄のトンネル内はインターネットが接続可能
  ・NYの地下鉄のトンネル内のネズミは人を咬む
  ・NYの自動車の運転手はマナーが悪い(緊急車両がサイレンを
   鳴らして走っているのに平気で突っ込んで来る)
  ・NYの地下鉄のトンネルからとある一流ホテルに出られる
   裏道がある
  ・そしてそのホテルでは見るからに不審な連中が大きな荷物を
   持って厨房を通り過ぎても誰も気に留めない(日常茶飯事?)

  どこまで本当なんだか?・・・・・突っ込みどころに事欠かない
 映画で、2大スターの競演が見どころで、暇つぶしにはなりました。


 「カムイ外伝」 評価:△

  「サブウエイ・・・」もそうですが、予告編を見て面白そうだと
 期待して観に行ったらそれほどでもなかった、という残念な作品です。

  120分の映画ですが、見せ場の連続という訳ではなく、かなり
 長い中だるみがあります。

  物語がどこか不自然で、登場人物に共感するよりもむしろ
 違和感を覚えることが多かったです。

  予告編で見ると生身の人間のアクション満載な印象を受けますが、
 本編はCGやワイヤーアクションが多用されています。

  残念ながらこの視覚効果は成功しているとは言い難く、物語同様
 違和感がありました。


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7・8月に観た映画 [映画]

7・8月に観た映画


 更新をさぼる癖がついてしまっていけません。今回は本数が多いので
5段階評価(◎〇▲△×)と、大まかな印象だけ書いておきます。

「それでも恋するバルセロナ」「ROOKIES-卒業-」
「ナイト ミュージアム2」「宇宙(そら)へ。」「G.I.ジョー」
の5本です。


 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。



 「それでも恋するバルセロナ」 評価:〇

 

 初対面の女性に「セックスしよう」と直球勝負で口説きにかかる
芸術家と、実際にセックスする3人の女性の、ひと夏の物語。

 登場人物それぞれの個性がうまく出ていました。

 ウディ・アレンの映画らしく固定観念に縛られない発想、
意外性のある展開、知的な会話が楽しめました。

 セックスの話が出てくるのに、トシのようなオヤジを喜ばせる
お色気シーンが出てこない、お上品な(?)映画でした。
 

 「ROOKIES-卒業-」 評価:〇

 人気テレビドラマの映画版。トシはこういう企画の映画ばかりが
ヒットするという風潮が好きではないし作品に興味が持てません。

 この作品も無視してもよかったのですが、あまりに大ヒットして
いると気になるし、一応綾瀬はるかが出演しているので観ることに
しました。

 トシが10代の頃テレビアニメやドラマで親しんだスポ根ものや
青春ものの味わいを思い出させてくれるような内容でした。

 期待しないで見たのでがっかりもしなかったし、それなりに
楽しめました。

 思い入れたっぷりの演出がくどいと感じた部分もありましたが、
心理学的に見て感心する部分も多かったです。

 チームの全員が明確な目的を持ち、「絶対甲子園に出る!」と
何度もその意識を確認しあうこと。

 イメージトレーニングで勝つイメージを持って挑むこと。

 最後まで絶対に諦めないこと。

 運動能力が一定水準以上ないと不可能なのは確かですが、あとは
精神力・結束力のあるチームに勝利の女神がほほ笑むという
内容が良かったです。


 「ナイト ミュージアム2」 評価:△

 この映画も元々興味がなかったのですが、やはりヒットしている
こととベン・スティラーが主演していることで観ました。

 歴史上の英雄たちが多数登場して博物館の中が大騒ぎになる
のですが、物語としての面白さはあまり感じませんでした。

 出てくる英雄たちは、もし本物だったら威厳があって目の前に
いるだけで圧倒されるのでしょうが、この映画に登場するのは
いかにも“そっくりさんが演じている”といった風の人物で、
テレビのコントを見せられているような感じでした。

 特に何かを期待して見るのではなく単なる暇つぶしとして
見るなら許せる、薄っぺらな内容でした。


 「宇宙(そら)へ。」 評価:△

 日本向けに付けられた題よりも原題「ROCKET MEN」の
方が映画の内容にふさわしいです。

 宇宙を描いた映画ではなく、宇宙に挑戦する人々を描いた
ドキュメンタリーでした。

 宇宙の詩的な映像を存分に楽しめると勝手に想像していた
トシは物足りなさを感じました。

 NASAの50年間の歩みを秘蔵映像でたどると謳っていますが
すでにニュースやテレビ中継で見たことのある映像が多く、あまり
新鮮さは感じませんでした。

 役者が実在の人物を演じた映画で「ライトスタッフ」「アポロ13」
というのがありました。トシはどちらも好きです。

 両方とも良く出来ていて、地表と宇宙との距離感やロケットの
スピード感、宇宙船内の雰囲気等を観客にうまく伝えてくれました。

 さらにSF映画が描く場面に慣れっこになってしまった自分は
現実の映像を見てもあまり感動できなくなっていました。


 「G.I.ジョー」 評価:〇

 荒唐無稽。ご都合主義。しかし考える隙を与えないスピーディーな
展開と派手なアクションで最後まで楽しませてくれます。

 展開がどことなく「スター・トレック」を連想させます。

 若き主人公が精鋭組織の一員となり、やがてはチームのリーダー的
存在となって大活躍。

 組織自体は大きいけれど危険な現場に向かうのは下っ端ではなく
エリートである主人公たちです。

 「アイアンマン」をさらに進化させるとこうなるだろう、という
強化スーツが登場します。

 これが今までにないアクションシーンに貢献しています。

 悪者と正義のヒーローの対決という分かりやすい話なのですが、
今は敵味方に分かれてしまった人物が実は過去に只ならぬ因縁が
あったとする設定が安っぽい印象を与えます。

 観終わって後に残るものが無くても、見ている間は存分に
楽しめる、サービス精神たっぷりの映画でした。


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「アバター」特別映像上映会 [映画]

「アバター」特別映像上映会

 「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督が長い年月を
費やして製作した最新作。

 本編が世界同時公開されるのは12月18日(金曜日)ですが、
公開を4か月後に控えた8月21日、その一部が上映されました。
トシは初公開となるこの上映会に参加することができました。

 参考:http://www.cinemacafe.net/news/cgi/release/2009/08/6541/index.html

 まずこの映画の特徴を挙げると、3Dであること。観るときには
専用のメガネをかける必要があります。

 約20分の上映でしたが、実際に見て、今まで見たどの映画とも違う
独自の世界に引き込まれました。

 「パンドラ」という架空の星が舞台で、地球には存在しない生き物が
たくさん登場します。その立体感も動きも見事です。

 実写とCGの融合とか、フルCGのアニメとか、そういう技術的なことを
ほとんど意識させない映像と言いましょうか。

 過去に見た「ジュラシック・パーク」も「キングコング」も素晴らしいと
感じたけれど、「アバター」はさらに先を行っています。

 今日の技術はかなりの水準に達していて、手間・暇・お金を惜しみなく
注ぎ込めば監督が思い描いたものに忠実な映像を作り上げることが
可能なんだということを実感しました。

 キャメロン監督が「自らのイマジネーションに映像テクノロジーが
追いついた」と語っているように、映画の進化がここまで来たという
新時代の到来を告げるのが「アバター」です。

 映画の面白さは物語・人物描写・アクション・カメラワーク・カット割り
など様々な要素から成り立っていますが、製作者はもう技術的な限界を
言い訳にすることができない時代になったと言えましょう。

 技術的な障害が無いとすれば、あとは製作者の想像力がどのぐらい
豊なものかや、脚本・演出が今まで以上に重要になってきます。
 
 今日観た特別映像は、物語性や表現力の点でキャメロン監督の高い才能を
再認識させるものになっていました。

 おそらく今後、追随する3D映画が続々と作られることでしょうが
当分は「タイタニック」のようにキャメロン監督の独り勝ちになるだろう
と思いました。

 本編の公開が待ち遠しいです。


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「ノウイング」 [映画]

「ノウイング」

 ニコラス・ケイジ主演作。この前の「バンコック・デンジャラス」に
がっかりして、お口直しのつもりで見に行ったのですがこちらも
期待はずれでした。

 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。



 まだ見ていない人にこの映画をどうやって説明したら分かりやすい
でしょうか。

 M・ナイト・シャマラン監督の一連の作品に「アルマゲドン」や
「デイ・アフター・トゥモロー」などの地球規模の災害を絡め、
「未知との遭遇」を加えてかき混ぜ、最後にたっぷりの水で薄めた
ような映画でした。

 大変欲張りな映画で、予知能力・人類滅亡・地球外の知的生命
など、大変興味深い題材が盛り込まれています。

 料理の仕方によってはとても見応えのある、そして感動的な
映画にできるはずなのですが・・・。

 盛り込んだそれぞれの題材についての掘り下げ方が不十分です。

 いかにも脚本家が頭で考えましたという物語。もったいぶって
残しておいた謎が最後には明らかにされて、一応話としては
決着します。

 しかし、観終わって「そうだったんですか」と納得しても
「だから何?」という疑問は残ります。

 単にそろばん勘定から映画的な見せ場をいろいろ入れて、
ミステリー仕立てにして話を引っ張っているだけに見えます。

 この映画を通じて観客に訴えたいものというのが伝わって
来ません。何も心に響いて来ないのです。

 たとえば大惨事について、自分がその場にいるような臨場感で
徹底的に描いて見せるとかでもいいから、何かこの映画ならではの
こだわりのようなものがほしかったです。

 あるいは人類が誕生したのは偶然がもたらした産物なのか
それとも創造主の意思で創られたものなのかについて掘り下げて
この映画なりの方向性で描いても良かったのではないでしょうか。

 結局50年前の小学生が書いた数字の羅列がその後に起こる
大惨事についての予言だったことが分かるわけですが、それでも
「だから何?」という印象はぬぐえません。

 そしてなぜか主人公の妻が予言絡みで亡くなったり、主人公の
目の前で次々と大惨事が起きたりします。

 主人公が予言について解明していくことと大惨事を目の当たりに
することについて何か特別な意味があるのかと思ったらそうでも
ないしで、結局主人公の役割というのは物語の進行役でしか
なかったというのがつまらないです。

 予言が人類への警告で、悔い改めて正しく生きることで救われる
というのなら分かります。

 しかしこの映画では予言通りの日時・場所で予言どおりの数の
死者が出るだけです。回避するすべもなく、予言どおりに
事が起こって、はい、終了。

 「そうだったんですか」としか言いようがありません。

 宇宙人(?)が現れて選ばれた子供たちを新天地に連れていく
という終わり方も取って付けたような印象です。

 宇宙人が現れなくて「肉体が滅びても魂は生き続ける」という
方向に行ってくれた方がトシは納得しました。

 魂が生き続けることではなくて生命としての種の保存が
この映画では重要視されていているようでした。

 主人公の父が牧師だという設定で、当然魂の救済という方向に
進むのかと思っていたらはぐらかされてしまいました。

 この映画で見る限り、肉体の死はそのまますべての終わり
のようです。セリフには魂の救済をにおわせる部分もありますが
それを具体的に映像で描いてはいません。

 神の存在とかいう話になるとテーマが大きすぎて、正面から
取り上げるのは避けたのでしょう。

 それならそれで、その場限りの見世物映画と割り切って
見世物に徹してほしかったです。


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「ターミネーター4」 [映画]

「ターミネーター4」

 最近見たSFでは「スター・トレック」とこの「ターミネーター4」が
抜群の面白さでした。


 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。



 大ヒット作の続編だからといって面白さが保証されるわけではなく、
面白さは作り手の意気込みや才能に大きく左右されるものだと思います。

 シリーズ4作目ともなれば出涸らしのお茶みたいになっていても
不思議はありません。

 「ターミネーター4」が製作されると知ったときのトシの反応も
「どうせ大ヒット作にあやかったB級アクションになるんでしょ」
程度のものでした。

 ところがその予想を大きく裏切る娯楽超大作になっていました。


 とにかく見せ場に次ぐ見せ場。それも「どこかで見たような」もの
ではなく極力新しいものを見せようという意欲が伝わってくるもの
でした。

 部分的には「バイオハザードⅢ」「宇宙戦争」「アイ・アム・レジェンド」
を連想させる展開になったりしますが別に真似したわけではないでしょう。

 人類の生き残りをかけた戦いという物語の性質上どうしても共通する
部分が出てきてしまうだけです。

 「ターミネーター2」を観たことがあれば思わずニヤリとしてしまうような
決め台詞や類似の場面があるのが御愛嬌です。

 戦う相手がロボットで、大部分がCGだと思うのですが画面で
見ていて違和感がありません。 

 「スターシップ・トゥルーパーズ3」の安っぽさや「トランスフォーマー」
の速すぎて訳がわからない感じとは全然違います。

 質感・重量感・スピード感が高い水準にあり見応えがありました。


 物語については「スター・トレック」と同様に過去・現在・未来の
関係や罠の仕組みがトシの頭では完全には理解できなくて、ちょっと
置いてきぼりを食らった感じです。

 サイボーグ化されたマーカスが重要な役回りで、彼にまつわる物語が
今回の見どころでもあります。

 最後の方でマーカスがスカイネットと同期してすべてを把握するという
設定なのですが、そこでの説明が頭の悪いトシにはよく分かりませんでした。

 あと、ジョン・コナーがスカイネットの施設を物理的に破壊したから
それで人類の勝利だとばかり思ったら、まだ戦いは続くとのことでした。
「4」で破壊したのは一体何だったのかも分かりませんでした。

 細かいことを言えば、バイク型ロボットを捕えて乗りこなしてしまう
という都合のよさとか、ロボットが丸腰の人間を相手にしたら秒殺できるに
決まっているのに投げ飛ばしたりしてもてあそんでいるように見えるとか、
本当ならあり得ない場面もありました。

 そういった突っ込みどころや訳の分からなさを差し引いてもなお、
2時間弱の間存分に楽しめたという満足感でいっぱいです。

 「トランスフォーマー:リベンジ」には全く期待していないので、
どうせお金を払って観るなら「スター・トレック」か「ターミネーター4」の
どちらかをもう一回劇場で観たいと思います。


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「スター・トレック」「天使と悪魔」「レッドクリフPartⅡ 未来への最終決戦」「バンコック・デンジャラス」 [映画]

「スター・トレック」「天使と悪魔」「レッドクリフPartⅡ 
未来への最終決戦」「バンコック・デンジャラス」

 1本1000円で見られるサービスデーに映画の「はしご」を
するのがトシの楽しみの一つです。6月1日に見たものを中心に
一気に報告します。


 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。


 「スター・トレック」

 

 かつてテレビシリーズで、そしてオリジナル・キャストによる映画化でも
人気を博したSF。新作はどんな映画になるかとても楽しみでした。

 同じ看板を掲げる以上、あまりにもかけ離れたものにならないよう、
主要な登場人物やUSSエンタープライズ号のデザインは旧作から
引き継いでいます。そしてオリジナル・キャストのレナード・ニモイも
重要な役で登場します。

 しかしバットマン・シリーズ同様、物語の原点までさかのぼって全く
新しく構築した作品です。登場人物のほとんどが若々しいです。

 USSエンタープライズ号の処女航海と、若きジェームズ・T・カークが
数々の困難を乗り越えてキャプテンの座を引き継ぐまでが描かれます。


 格段に進歩した視覚効果、いまどきの映画らしいスピード感あふれる
演出が観客を画面にくぎ付けにします。

 監督が「M:i:Ⅲ」やテレビ「LOST」のJ.J.エイブラムス。
危機的状況が容赦なく襲ってくる演出が際立っています。

 一難去ってまた一難という生易しいものではなくて、危機的状況が
合い盛り状態。同時進行でいくつもの困難を乗り越えないといけない、
そんなスリリングな場面が彼の得意技です。


 船体のワープとか人物の転送とかで移動が楽々なのがいいです。
ワープでは加速度を感じないので船内の人物は普通に椅子に座って
いられます。

 船外の人物が危機一髪のときは絶妙のタイミングで転送(回収)。
さっきまで絶体絶命だった人が次の瞬間には何事もなかったように
船内にいるという訳です。

 この設定は旧作にもあったのですが新作の方がはらはらさせる
演出に効果的に用いられています。


 残念ながら物語にはトシの頭では理解できない部分もありました。
瞬時に空間の移動ができるのはいいとして未来の人物が過去に戻る
とかいうあたりは頭が混乱してしまいます。

 今回の敵役が攻撃してきたり惑星を破壊したりする目的というのが
単なる勘違いから来ているらしいですが、それじゃただのアホです。

 そんなアホに対して、カークやスポックをはじめUSSエンタープライズ号の
若き乗組員たちが力を合わせ、お互いに成長していくところが
いいです。

 物語は嘘っぽく荒唐無稽であるものの登場人物の個性をうまく
引き出していると思います。仕掛けよりも人物重視の映画になっている
ところが魅力です。

 

 「天使と悪魔」

 ご存じ「ダ・ヴィンチ・コード」と同じ原作者・監督・主演男優で
作られた第2弾。

 期待を裏切らない、堂々たる作品に仕上がりました。何事にも
そつがありません。

 信仰と科学は両立するのか、というテーマが軸になっていますが
万人向けの、良くも悪くも最大公約数的な描写でうまくまとめています。

 細かいところでは突っ込みどころがないとはいえませんが、娯楽性を
追求した作り話だと割り切って見れば許せます。

 事件が解決したと思ったら最後にどんでん返しがあります。結末を
知った上でもう一度見るのもまた楽しいだろうと思いました。  

 

 「レッドクリフPartⅡ 未来への最終決戦」

 こちらもしっかりした原作に基づいた娯楽巨編です。

 三国志の物語を知らない人でも楽しめるようにとても分かりやすく
作られています。

 それでいてジョン・ウー監督らしさもしっかり出ていて印象的な
場面がたくさんあります。

 説明的なセリフは最小限で、可能な限り視覚を通じて描いて
いこうとする姿勢が感じられました。映画的魅力あふれる作品です。
 
 見終わっての満足感が大きいし、しばらく余韻に浸っていたく
なりました。

 

 「バンコック・デンジャラス」

 タイ映画「レイン」をニコラス・ケイジ主演でリメイク。製作には
ハリウッドの有力プロデューサーが携わっています。

 しかしオリジナル版のパン兄弟が監督するという“セルフリメイク”
というのが特徴です。

 オリジナル版を見ていれば比較する面白さというのもあるでしょうが
トシは残念ながら見ていません。

 リメイク版を見た印象ですが、いまいちでした。

 最近見た“レイン”つながりの映画で「レイン・フォール 雨の牙」
というのがありますが、奇しくもいろいろ共通点があります。

 ・アジアの大都市が舞台
 ・ハリウッドの大物俳優と現地の俳優が共演
 ・フィルム・ノワールを意識した、色調を抑えた画面
 ・天涯孤独な暗殺者(プロ中のプロ)
 ・堅気の女性との中途半端な関係
 ・アクションがいまどきの映画としては可もなく不可もなし
 ・観客に一番伝えたかったことは何なのかいま一つつかめず
 ・期待したほど面白くなかった


 「バンコック・デンジャラス」に話を戻します。

 堅気の女性との関わり方が不自然なのが致命的です。バンコクでの
暗殺依頼を最後に引退しようと決心したプロの暗殺者が、なんで
あああいう行動に出るのか理解できませんでした。

 自らに課したルールのひとつに「堅気の人間と関わらない」という
のがありながら、もう少しで足を洗うという大事な時にナンパしてる
場合か?!という疑問が湧きました。

 しかも相手は言葉も通じず育った環境・文化も何もかも違う女性。
不釣り合い・場違いな感じと、なぜ今誘わないといけないのか
説得力がない不自然さ。何考えてるんだか分からなくなりました。

 引退を前にして気が緩みすぎです。この主人公もアホです。

 悲劇的な結末も含め自業自得としか思えませんでした。

 ニコラス・ケイジは決して嫌いな俳優ではありません。次回作に
期待です。「ノウイング」は予告編で見る限り面白そうです。


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「おっぱいバレー」「おくりびと」「イエスマン」 [映画]

「おっぱいバレー」「おくりびと」「イエスマン」


 今回の3本はまず第一に老若男女誰もが見て楽しめる映画です。
また、人の生き方について考えさせるテーマを娯楽性の中で
うまく描いていて、見終わっても心に残るものがあります。
そして登場するヒロインが三者三様の魅力がありました。


 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。



 「おっぱいバレー」


 劇場窓口で「おっぱいバレー」と言うのがちょっと恥ずかしかった
トシですが同じように感じた人も少なくないのではないでしょうか。

 思わせぶりな題とは裏腹にお色気シーンは皆無。「ヤッターマン」が
子供向け映画の体裁とは裏腹に深田恭子のお色気が楽しめたのとは
好対照です。

 綾瀬はるか主演で題が「おっぱいバレー」だと巨乳のバレー選手の
話か?と一瞬考えてしまいます。たとえ脱がなくても目の保養には
なるのでは・・・と期待したら絶対に裏切られます。

 「ヤッターマン」は大ヒットし、「おっぱいバレー」は不振だった
そうです。全く違う題材を描いた映画なので単純な比較はできませんが
興行成績とさっき書いたことが無関係とは思えません。

 それはさておき、トシは綾瀬はるかのファンなのでお色気シーンの
有無とは関係なく彼女が出ている映画として見てきました。


 中学校の弱小男子バレー部の生徒たちが死に物狂いで練習に励む、
その原動力が顧問のおっぱいを見ることとは・・・微笑ましいような、
情けないような。

 目的が何であれ、ひとつのことに打ち込んで頑張ることは価値が
ある。それをこの映画では描いています。

 あと、ヒロインが教師を目指したいきさつや、誰にでも一度や二度は
経験があるような過去の過ちに悩みながらもそれを克服しようとする
真摯な姿が心に響きます。

 男子バレー部の生徒たちの興味があくまでもおっぱいであって
女子生徒に恋をしたりするわけではないこと、先生は先生で元彼と
よりを戻す機会があったにもかかわらずそうしないこと。同僚の
教師が明らかに彼女に気があるのに知ってか知らずか素っ気ない
態度を取ること。

 見た目の色気だけでなく、恋愛といった心の色気さえも「外し」て
いることがこの映画を淡白なものにしています。

 悪くない映画だとは思うけれど、かといって人に強く勧めるほど
でもない、中途半端な映画でした。

 

 「おくりびと」


 数々の映画賞を受賞し、評判が評判を呼び息の長いヒットになった
映画です。

 

 納棺師という、あまりなじみのない職業に焦点を当てた企画は
異色ですが、だからこそ今までにない視点から死や家族の絆について
描くことができて成功していると思います。

 人の死に関わる職業に厳かさが求められるのは当然ですが、だからと
いって映画が厳粛で暗いものである必要はありません。

 死にまつわる話題を提供しながらもユーモアを忘れない独特の雰囲気が
「おくりびと」にはあって、それが観客の心を惹きつけています。

 随所に笑いを散りばめながらもところどころに人情味あふれる場面を
入れてほろりとさせる、いかにも松竹映画らしい作品と言えます。

 

 本木雅弘・広末涼子の夫婦、山崎努の社長がそれぞれ異なった魅力が
あったし、他の登場人物も個性的でいい味わいがありました。

 トシは個人的には広末涼子の起用がこの映画には重要だったと思います。

 今回の出演者はみんなが適役だったことを認めつつも他の役は演技の
上手い俳優がやれば違う役者さんでもきっとうまくいっていたと思います。

 しかし「おくりびと」では広末涼子の存在感・持ち味が映画の味わいを
左右したといってもいいのではないでしょうか。

 夫は自分一人で何でも抱え込んでしまう人。金銭的なことから何まで、
妻に相談もせず一人で悩み、一人で決断する。

 そんな夫を一方的に責めたりはせず心の支えに徹する妻。それでいて
重要な局面では言うべきことをちゃんと言う。

 心のオアシス。外でどんなにつらい目に遭っても家に帰れば妻が
癒してくれる。根掘り葉掘り聞いたりはしないが苦しみを理解し
陰で支えてくれる。

 日本の女房の鑑ともいうべき妻を広末涼子が好演していました。

 芝居がどうのこうのという以前に、その存在自体に癒しを感じました。
自然体というか、普通にいそうな雰囲気がいいです。

 納棺師という夫の仕事に最初は拒否反応を示すものの、次第に理解し
受け入れようとする。そして夫を誇りにさえ思うようになる。

 心の変化を具体的に語るセリフはないのですが映し出される顔を
見ているとそう解釈できるような映画になっています。

 そして監督の演出意図に応えていい表情を見せてくれました。

 この女房役だけは他の役者さんが演じていたら(演技がどんなに上手
だったとしても)全く違った味わいになったのではないかと思うし
広末涼子だったからこそトシの心に響いたと言える映画でした。

 

「イエスマン」


 「“YES”は人生のパスワード」という副題が付いています。

「実り多い幸せな人生にするためには積極的に“イエス”と答えましょう」
という趣旨ですが、この映画は誇張して面白おかしく描きながらも
真実をうまく伝えていると思いました。


 ジム・キャリー演じる主人公は最初は人づきあいが悪い、仕事でも
何でも断る理由ばかり考えている人間として描かれます。

 その結果親友と呼べる相手もいないし離婚してからは恋人もできず、
出世もしない無味乾燥の日々を送ってます。

 それが、無理やり連れて行かれた自己啓発セミナーをきっかけに
何でも“イエス”と答えることになり、仕方なくそうしていたにも
かかわらず人生がいい方向へ向かうという訳です。

 恋人ができる。仕事ぶりが評価される。人脈も広がり、人生を楽しむ
ことができるようになります。

 やがては強制されてではなく自分の意志で前向きに生きるようになり
人助けをしたり逆に築いた人脈のおかげで窮地を救ってもらったり。

 ホームレス、ライブハウスのチラシ、ギター、飛行機の操縦、韓国語教室、
イスラム教徒との見合いなど、“イエス”と答えることによって関わった
諸々のことが伏線となって後で活きてくる脚本がいいです。

 ゾーイ・デシャネル演じるヒロインが魅力的です。「ハプニング」も
良かったけれど「イエスマン」での彼女の方が個性的で、自由奔放な
生き方をしている雰囲気が良く出ていました。

 前向きに生きる主人公と自分らしく生きるヒロインとの組み合わせが
実によかったです。


 3作品見てそれぞれのヒロインに三者三様の魅力を感じたトシです。

 役者さんの好みではなく役柄の比較で言えば、恋人にしたいのが
「イエスマン」、女房にしたいのが「おくりびと」。

 「おっぱいバレー」の先生は?もし自分が中学生に戻ったら、やっぱり
こんな先生に憧れていたかもしれません。

 それにしても中学生だから「おっぱい見せて」程度で済んだものの
高校生だったらもっと違ったことを求めていたのかな?と、余計な
心配をしてしまいました。

  でも過激な要求の方が即座に断れたとも言えます。微妙なところを
狙ったあの中学生のせこい作戦に脱帽です。


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「ワルキューレ」「レイン・フォール 雨の牙」 [映画]

「ワルキューレ」「レイン・フォール 雨の牙」


 最近見た2本のサスペンス映画ですが、前者は及第点、後者は
物足りない作品でした。

 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。


 「ワルキューレ」

 トム・クルーズ主演。今回彼は第二次世界大戦中のドイツ将校を
演じています。

 ドイツといえば独裁者ヒトラー。ヒトラー率いるナチスの蛮行は
言わずと知れていますが、当時のドイツ国民は盲目的に彼に従って
いたのでしょうか。

 いいえ、すべてがそうではありません。この映画は自分の良心に
従い、ヒトラー暗殺によって世界を変えようとした実在の人物が
主人公です。

 何度も試みられては失敗に終わった暗殺。成功の確率は低く、
失敗すれば反逆者として処刑されるでしょう。

 それでも、誰かが行動しなければ。人々を無駄な死から救わねば。
危険は承知の上で勇気を振り絞って行動する人々がいました。

 ドイツが戦争に負ければ当然ヒトラーの独裁に終止符が打たれる
訳ですが、それまで待つのではなくてドイツ国民自らの手で
ヒトラーを阻止(=暗殺)しようとしたところに価値があります。

 映画のストーリーを語るまでもなく、暗殺計画は失敗に終わり
ヒトラーの独裁は敗戦まで続きました。

 残念な結果に終わったとはいえ、行動を起こした人々の勇気を
称えたいしドイツ国民は彼らを誇りにしていいでしょう。

 映画は極秘裏に進められる計画とそれに関わる人物を丁寧に
描いていきます。

 計画が独裁者側に悟られてすべてが水の泡になってしまわないか、
作戦を実行する上で予期せぬ事態が起きたときにどう行動すべきか
など、サスペンスの要素が盛りだくさんで最後まで緊張感が続きます。

 結果は分かっているのに、ばれないでほしい、計画が成功して
ほしいと祈るような気持ちで見てしまいました。

 トム・クルーズが祖国を愛する将校を好演しているほか、登場人物
それぞれがいい味を出していました。



 「レイン・フォール 雨の牙」 

  ちょっと期待が大きすぎたのか、がっかりした映画です。

 見る前は「ジェイソン・ボーン」シリーズや「ブラック・レイン」を
勝手に想像していました。

 しかし実際に見てみるとずいぶん小粒にまとまっていて、大きな
落差を感じてしまいました。

 国家を揺るがすほどの極秘情報が入ったメモリー・スティックを
めぐってCIA・ヤクザ・警察などが入り乱れて主人公ジョン・レインと
ヒロインを追い詰めていくという話です。

 しかし、その極秘情報とやらが・・・日本における不必要な公共事業と
政治家の関係を暴くものらしいです。

 でも公共事業が無駄遣いなのは国民はみんな知っているし政治家が
その絡みで利益を得ていると言われても誰も驚かないでしょう。

 この設定でまず拍子抜けしました。原作者は元CIAとのことですが、
細かい部分では説得力のある描写があるものの物語としての面白さは
不足です。

 映画がどの程度原作に忠実なのか分かりませんが、物足りなくもあり
訳の分からないところもありました。

 組織に裏切られた工作員という設定から「ジェイソン・ボーン」を
連想してしまったのですが、比べるのが失礼なほどアクションが
物足りないし、頭脳戦や駆け引きといった部分でも目新しさは
感じませんでした。

 それと、外国人監督が日本を舞台に撮るという点で「ブラック・レイン」
のような派手なハリウッド映画を期待したのも間違いでした。

 ハリウッド映画が日本人を大抜擢して撮ったのではなくて、「外国人が
書いた小説を外国人監督を起用して撮った」日本映画というのが
本当のところのようです。

 日本映画を差別したくはありませんが、予算やロケ地の協力体制
といった点で不利のある日本では「ジェイソン・ボーン」のような作品を
作るのは無理でしょう。

 そんな日本映画の限界を感じさせられた作品です。 


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「20世紀少年 第2章 最後の希望」「ヤッターマン」 [映画]

「20世紀少年 第2章 最後の希望」「ヤッターマン」


 洋画を中心に見ているトシですが、最近は邦画でも見てみたいと
思える作品が増えてきて、見てそれなりに楽しめるようになって
来ました。

 今回取り上げる2作品も興味のある企画だったし、実際に見ての
印象も良かったです。

 以下、例によってネタばれの場合もありますのでご了承の上
お読みください。



 「20世紀少年 第2章 最後の希望」

  前作から15年後、2015年の東京が舞台です。唐沢寿明演じる
ケンヂは行方不明という設定で、代わって豊川悦司のオッチョ、
常盤貴子のユキジらが活躍します。

 成長して高校生になったカンナも重要な役柄です。可憐で好奇心
旺盛で、そして芯の強いカンナが第2章の面白さの原動力になって
いて、彼女の見せ場がたっぷりあります。

 カンナを演じる平愛梨が、ベテラン俳優たちと向き合っても
負けないだけの存在感があってなかなかいいです。

 トシは原作を全く読んでいないのですが、やっぱり訳が分からない
まま終わってしまう感じでした。

 秘密の鍵を握る人間が登場しては、結局殺されてしまう。

 「ともだち」は勢力を更に強大化し、ついには神と崇められる
までになってしまう。

 ケンヂ、オッチョたちに反撃のチャンスはやってくるのか?
第2章では形勢が不利なまま終わってしまいます。

 第3章でどんな結末を迎えるのか早くこの目で見てみたい
気持ちにさせられます。

 近未来を描いた作品ですが、不気味なカルト教団や細菌テロなどの
描写が必ずしも絵空事とは言えない怖さを持っています。

 一方で物語の流れとはあまり関係がないと思われる人物が登場する
のですが実在の人物(国民的歌手や漫画家)のパロディーになっていて
独特のユーモラスな雰囲気を醸し出していました。


 

「ヤッターマン」

 こちらもオリジナルのTVアニメは全く見ていませんでしたので
原作と比べてどうかということは分かりません。

 でも実写の映画でありながらアニメの世界観をそのまま表現
しているような独特の味わいがあって面白かったです。

 一言で言うと「くだらない」内容なのですが、そのくだらなさの
一貫性が見ていて気持ちいいです。

 くだらない映画とはいっても、日本映画界の第一線で活躍する
監督とスタッフ・キャストが集まっただけあってセットやメカの
作り、アクション、特殊効果などすべてが本格的で見応えがあります。

 話題の中心はやはり深田恭子演じるドロンジョです。大ヒットに
貢献したのはほかでもない“深田ドロンジョ”でしょう。

 出演依頼があったときはあの独特のコスチュームに抵抗があったの
ではないかと思いますが、画面では吹っ切れた感じで見事に役に
成りきっていました。

 外見からすると冷酷な女王様キャラかと思いきや、意外と人間臭さ
があるし純情な一面を見せたりもしてなかなか可愛らしいです。

 よりによってヤッターマン1号に心を奪われるという、予想外の
展開になりますが、そこが実写ならではの見どころでもあります。

 ドロンジョ様に忠実な手下のボヤッキー、トンズラーもいい味を
出していました。

 このドロンボーたちは悪役ですが深い絆で結ばれている感じがするし
それぞれがつつましい夢を持っていたりして親近感が湧きます。

 3人のミュージカルシーンも楽しめました。

 敵役3人の個性があまりにはまっていて、ヤッターマン1号・2号の
コンビが食われてしまいそうなほどでした。


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